【独善コラム】におきましては、こちらのコラムを一番最初に読むことをオススメします。

Written by Suzuki on Date : 2002.4.15

鈴木は何を隠そう、ラルクが好きである。

基本的にミクスチャー系エモコア(エモーショナル・コア)バンドの音を好む鈴木が、決してそんな音を出すバンドではない『ラルクアンシエル』という存在に興味を惹かれて早十ウン年。一体いかにして鈴木はラルクに興味を惹かれ、現在までそれを持続させることが出来たのか、その理由はいまだ大いなる謎に包まれまくっているのだが、これを語らないことにはきっと他のコラムからはイマイチ鈴木の『ラルク好きぶり』は伝わらない(←言いたい放題だから)と判断し、
まずこのコラムを冒頭に置くことにした。

時は遡ること8年前。
1994年といえば、今気付いたのだがどうやらデビューの年らしい。(93年かと思ってた)
鈴木が『L'Arc-en-Ciel』を知ったのは、この年リリースされた【Blurry Eyes】である。
この事実だけだと、いわゆる「古いファン」と呼ばれそうだが、それが実はそうではないのだ。
何故なら、この時は「知った」というよりも 「曲を聴いただけ」 なのだから。
誰が歌ってるのかも知らないし、曲名すら覚えてなかった。

最初に【Blurry Eyes】を耳にしたのは近所の某服屋である。学生系からギャル系からアジアン系・・・と、ちょっとアクの強い女の子が好むような服屋だった。(今はジプシー系が店内を埋め尽くし、もはや何屋なんだか分からない)
その店内で、よく耳を傾けなきゃ聴こえないくらいの音量で、その曲はかかっていた。そして、その店が大好きで毎日のように通っていた鈴木も異常ではあったが、さらに異常だったのは、毎日その曲ばかりが流れている店の方であったと思う。

通いつめているある日、ようやくふと聞こえた音楽に、鈴木は大して興味も惹かれなかったのだが、目的の商品をレジに持って行き、店長がその曲を口ずさんでいたところで初めてその曲の印象が鈴木の中に引っ掛かる。

 「コレ、なんて曲ですか?毎日かけてますよね」
 「ブルーリーアイズっていうの。イイ曲なんだよ〜、知らない?」
 「知らないッスね」
 「・・・そう、じゃあ1029円ね」
 「あ、ハイ」

確かこのくらいの会話であった。ちなみに店長とは、40代は間違いなかろうオジサン店長 なのだ。
見事その日の夜には聞いたはずの曲名すら、鈴木の頭からは消え去り、せっかく手にした『L'Arc-en-Ciel』の欠片は、みるみる鈴木の中から薄れてしまった。この時の鈴木に、40代のオッサンが勧める曲の印象が残らなかったのは仕方あるまい。

一応これが鈴木とラルクの、今では懐かしき出会いの瞬間である。

そしてそれから2年後の1996年。まさに運命の年である。

何気なくテレビを見ていた鈴木の目に、衝撃の映像が飛び込んできた。

『♪街中〜に溢れそうなぁ〜 素敵な時だーかーらぁ〜』

そんな曲調と共に鈴木の視界に飛び込んできたのは、言わずもがなPVのハイド氏のどアップである。

――― おぅッ!?

世に言う『一目惚れ』というやつだった。
しかし鈴木が見たのは、誰のなんと言う曲かも分からないプロモーションビデオの、
恐ろしく美形な(恐らく)兄ちゃんの顔面逆さアップシーンだけなのだ。
当時の『流行の音楽』に疎かった鈴木(マニアな音楽は詳しかったが)には、それ以上調べようもなかったし、調べる根性も無かった。

しかしそこは有り難きかな、さすがは運命の年
よほど神様は鈴木とラルクを引き合わせたかったのか、案外すぐまた再会出来たのである。

再び別の音楽ランキングのテレビ番組で出会ったプロモーション映像にて、再びあの顔面逆さアップシーンに遭遇!
『あーッ!この人だッ!!』 と叫んだそこには・・・

― 風にきえないで 【L'Arc〜en〜Ciel】

と、あった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・読めない。
そうである。せっかく再会した画面で発見したバンド名らしき単語。
その英語とも何語とも分からない綴りが、当時の鈴木は読めなかったのだ。
しかし幸運にも、その音楽ランキング番組には続きがあった。先ほどの【風にきえないで】という曲のランクよりも20位ほど上位に今度は・・・

― flower 【L'Arc〜en〜Ciel】

オォウッ!?また!?
そう、またあの何と呼んだら良いのか分からないバンドが、別の曲でランクインしていたのだ。
さらに衝撃は続く。そのまたおよそ10位ほど上位・・・

― Lise and Truth 【L'Arc〜en〜Ciel】

なんでッ!?つーかこの人たち誰ッ!?

鈴木が翌日、学校で友人らにこの謎のバンドの正体を『ラぁ〜・・・なんとかっちゅーバンド、知らない?』と言いながら聞き漁ったのは言うまでも無い。

翌日、意外にも知り合いの中に例の謎バンドの超ファンである人間達がいた。
そして彼女達曰く、どうやらあの綴りは【ラルクアンシエル】と読み、フランス語らしい。
何故かその知り合いの一人から、1日中あのクソ長い綴りの練習をさせられたのである。

 「違うって!『C』は大文字なんだっつの!!」
 「あ、そうなの?」
 「ハイフンはここには入らないんだってばッ!!」
 「え〜紛らわしぃ〜メンドくさーい」

当時の鈴木は、英語が一番の苦手教科だった。

その後数日間、鈴木は例の友人達からありとあらゆる『ラルク講義』なるものを聞かされることになる。

当時、同時に3枚のCDが同時ランクインというあんな偉業を成し得ていたのは、どうもシングル【flower】がCX系【劇空間プロ野球ニュース】のオープニングソングに起用されたことにより一気に火が付き、最新シングル【Lise and Truth】は好調な順位にランクインし、さらにはバンドの人気の上昇と共にその年発売されていた過去のシングルも50位以内のシングルチャートに返り咲いていた、ということだった。
その他には、メンバーはその素性を一切公開していないだとか、関西弁で喋るだとか・・・、もはやここまで情報を仕入れてると、鈴木も自分で「なんかファンっぽいな・・・」と意識するほど、学校では勉強そっちのけでラルク講義に没頭していた。(奇しくも鈴木はこの年『受験生』というやつだったのだが、まったく神様は無情なり)

それはそうと、当時の鈴木はあの衝撃的な一目惚れをしてしまっていたヴォーカルのハイドという人のことが、どうしても 『純血日本人』 には思えなかったものだ。今となっては笑うしかないエピソードである。

そんなこんなで、その頃にはすーっかり気持ちは『ファンっぽいレベル』まで高まっていた鈴木は、当時発売されて間もなかった最新アルバムを、ラルク講義の先生方(※注:同級生)に貸してもらい、ようやくじっくりとその音を耳にする機会を得る。そのアルバム名は【True】 というらしい。

ブックレットを開いて、思わず鈴木の手が止まる。

例のハイドとかいう人のなんともお色気たっぷりなピクチャーが満載だったからだ。
…ハッ、いかんいかん!!『音を聴く』という当初の目的を忘れるところだった。

――【True】鑑賞

その音は、とんでもなくツボ であった。
初聴きで飽きることなく最後まで聴けたアルバムは、ここ最近の鈴木にはかなり珍しいことだったのだ。
付け加えてやはりあの一目惚れヴォーカルの声がえらい好き、という事実。
透明感があるようで、どこか粘っこい。掠れそうでどこまでも伸びていく。
「なんちゅー伸縮自在な声帯なんだ!?」と度肝を抜かれたのを覚えている。

そして受験も無事に終え、学校卒業と同時に貴重なラルク講義も終了する。

翌年度から鈴木は学業のかたわら働き始め、確か初給料であのアルバム【True】を購入したのだった。
それからはあっという間だった。給料が入るごとに、どんどん【ラルクアンシエル】のリリースCDを遡りながら買い揃えていく。

そしてついに運命中の運命のアルバム、買占め最後のアルバム【Tierra】に辿り付いた。
バイト先の隣にある中古CD屋で未開封の【Tierra】を買い、それこそスキップでもする勢いで鈴木は家路につき、さっそく【Tierra】をコンポにかける。

――【Tierra】鑑賞中

・・・・・・ん?え?あ?・・・あああぁぁぁぁぁッ!?

鈴木の手が慌ててブックレットを取り上げる。
思わず鈴木がフリーズしてしまったのは・・・そう、【Tierra】の5曲目に収録されているあの曲、【Blurry Eyes】を聴いたからだった。

不思議なものである。
その時までスッカリサッパリキレ〜イに【Blurry Eyes】のタイトルすら忘れていたと言うのに、それでも鈴木には覚えがあった。どこかで聴いたことのある、妙に懐かしい不思議な曲。

『あぁ、洋服屋でかかってたのはコレだったんだ・・・』

それは2年前に通いつめていた近所の服屋で、店長がお気に入りで毎日かけまくっていたあの曲だったのだ。

こうして鈴木はよもやのファーストシングル【Blurry Eyes】と時空を超えた涙の再会劇を果たし、そのわずかな曲調の記憶だけで2年前の『出会い』を思い出した事に、「運命」と言うだけでは飽き足らず、果てには「神の力!絶対これゴッズパワー!」とまで言い始めた鈴木は、その結果、今日の『ラルク好きな鈴木』を確立させ、彼らに関連する諸々の体験がそれを持続させたのだった。

でも正直マジメな話、店内BGMでチラ聴きしただけで覚えてたってのは、ハイドの声がやっぱり鈴木にとってはかなり
印象的だったのでしょう。今思えば、あの服屋の店長はかなりなハイセンスの持ち主だったんですね。

皆さんも、自分の『運命の音』との出会いを思い返してみてはいかがでしょう?


以上、お粗末さまでした。