このコラムは、独善度の高さが示しているように、少々過激な内容となっております。鈴木の独善的な妄想解釈を笑って許せる方のみ、お読みください。

Written by Suzuki on Date : 2002.4.14

2001年後半以降、ラルクアンシエルは何の発表も無いまま、いきなり無期限小休止状態に突入しました。今回はその裏側について、鈴木の独断と妄想たっぷりの独善コラムをご堪能ください。

あまりに活動しないラルクに、さすがの鈴木も一抹の不安を感じ始めていた頃、突如として某雑誌で目にした文字に鈴木は衝撃を受ける。その雑誌には、ソロ活動としてのハイド氏が登場してたわけだが、そのインタビュー冒頭に飾られた文字。

2001年、母体であるバンド、ラルクアンシエルの
小休止と共にスタートしたそれぞれのソロ・ワーク

え?・・・えぇぇ!?ハイハイハイィィーッ!?
確かにやったらめったら動かないとは思ってましたよ。でもさ、そういうバンドの活動休止ってのはバンド側から正式発表があるもんなんじゃないの?なんでこんなハイドさんソロ活動のインタビュー中にその言葉を聞かにゃならんのさ?と、ちょこっとブーたれた鈴木だったのだが、それはこの際おいといて、その言葉に続く当のラルクアンシエル・ハイド氏の注目のインタビューはこうである。


「ラルクを休むことに対してはどう思っていたのか?」という問いに対して。
 『あのまま続けることは当然出来たけど、俺は休むのもアリだと思った。
 俺はソロをやりたいっていう気持ちもあったけど、雰囲気的に結構パンパンな印象があった、メンバーが。
 だから“休んだほうがいいんじゃない”って』

これはまた随分と・・・勘違いすら出来ないくらいに『活動休止状態』を認めたというか、こんなところで宣言しやがりやがってッ!!っていうか(笑)。改めてこう本人の口から聞くと、さすがにファンとしてはちょっと悲しい気もするが。


「メンバーがパンパンだったのはどういう風に?」という問いに対して。
 『どうだろう。凄い忙しかったのは忙しかったからね。だから仕事が、言い換えりゃあ、
 ベルトコンベアっぽく流れてく感じがしてて。これってどうなんだろう?って。
 でも、他にいい方法も思いつかないしっていう感じで』

この流れはアルバム【ark】【ray】リリースの頃(1999年)からあったことだった。
あの頃から、ラルクご本人達は【L'Arc-en-Ciel】を【大きな船】と喩えていた。それはもはや自分達だけで動かせる空間を意味しているのではなく、もっと多くの人が携わっていて、付随したあらゆる市場のモノが動く・・・という、
【L'Arc-en-Ciel】が生み出す一種の産業のようなものにまで発展してしまっている、と。
それに焦りと疑問を感じたのは当然だろう。

ふと、7年前の『若かりしラルクアンシエル』の姿を思い出した。

あれは【heavenly】リリースの時の話だ。
事務所側が打ち出す【L'Arc-en-Ciel】に定着させようとしているイメージと、本人達がバンドとしてやりたい事のイメージに亀裂が生じた事件である。その結果、彼らはメジャー事務所に所属しながらも【ラルクアンシエル】の全てを自分達で作り上げていく、いわゆる『完全セルフ・プロデュース』という手段に出る。
スケジュール組みも、プロモーション活動も、全てを自分達で組み、こなす。
その為、かの有名なデニーズ会議が連日ファミレスで行われていたのは有名な話。
後日談でも、この時の自分達のプロモーション活動は熾烈を極めたと語られるように、彼らは異常な情熱で全国をその足で駆け回り、次回セルフ・プロデュースアルバム【heavenly】のリリース成功を勝ち取った。以降、メンバー自身の意見は大きくバンド活動に反映されるようになり、『事務所の飼い犬』から『ラルクアンシエル』に大きく成長した

そして、同じくバンドの在り方に悩んでいるらしい現在。
残念ながら今の【L'Arc-en-Ciel】は、あの頃のように将来思い描くバンド像談義に花を咲かせ、ファミレスで語り合うことが出来るようなお気楽な存在では無い。彼らの一挙一動が、もはや『産業』として成り立ってしまうほど、彼らが守り育ててきた【L'Arc-en-Ciel】は巨大化してしまったのだ。なんとも無情な話である。

【L'Arc-en-Ciel】は、その音楽性のオリジナリティー、リリーススタイルの斬新さ、ライブパフォーマンスのエンターテイメント精神、カリスマ性、他と相容れない独立精神、その全てにおいていわる『最前線』を突っ走ってきた日本有数のモンスターバンドと称されてきた。

また、別のメディアでは、

  ラルクは4人が4人ともそれぞれ違う曲が書ける。ラルクは『こうじゃなきゃダメ』っていうのが
  無いから何でも出来るし。何でも出来るから、逆に何でもやらなきゃダメになってくる。

というようなこともコメントしていた。
・・・なんとも難しい現実だろうか。あまり自分達の内面や本音といったものを語ることの少ないラルクにとってこれは、最大級の弱音であろう。(弱音すらも才能の無い凡人にとっては嫌味に聞こえるあたりが、さすがは腹黒ラルクさんって感じだな)

音楽に関して神がかり的に器用な4人は、その本拠地である【ラルクアンシエル】という存在から生み出される産業世界に関してはあまりに不器用過ぎたのだ。自分達が作る曲に対して、その1曲が生み出す様々な産業市場(PVの為の映像クリエイト市場だったり、販売市場だったり、スポンサー提携だったり)を小競り合う周囲の流れについて行けない。そりゃそうだろうよ。ハイド氏はアーティストであって、間違っても商人(あきんど)ではないのだから。
ケン氏もユキヒロ氏もそうだろう。テツ氏は・・・かなりイケそうだけど(笑)。
その為に『マネージャー』という職の人間が用意されているにしても、予想外に巨大に急成長してしまった【ラルクアンシエル】というモンスターバンドを前にしては、その存在もあまりに無力だったのだ。

なんだか小難しくなってきたので、どういうことか分かりやすく例を挙げよう。

上記の『逆に何でもやらなきゃダメになってくる』という想いを如実に現していたのが、ご存知【STAY AWAY】のプロモーションビデオ・・・踊るラルクである。某雑誌のインタビューで、あの製作秘話が語られていたのだが、そこで確かハイド氏が『もう全部やり尽くしたし、もう踊るしかねぇか?みたいになって』と語っていた。う〜ん、これでも一応長年彼らを見守ってきた鈴木としては、いやーなんとも驚きを感じずにはいられなかった。何故なら、ラルクが踊る(という設定)などこれまでの【ラルクアンシエル】には考えられなかったからだ。確かに【新たな魅力】をバンドとして打ち立てていくのは大事なことだとは思うのだが、いかんせん彼らは【L'Arc-en-Ciel】である。
妙な美意識と鉄壁のプライドを持った変てこりん屈強バンドなのだ。
そのバンドとしての2大看板を持っていたからこそ、現在の音楽シーンで今のような地位を築けたわけだが。
何よりも世に流されることを嫌い、全てを音楽に注ぎ込む生真面目バンド、それがラルクなんだからさぁ。
そんな彼らを見て「お・・っ踊るんですかぁッ!?」と思ってしまうのは当然の話である。

確かに【新たな魅力】としてラルクが持つコミカルな一面を全面に押し出したプロモーションビデオ【STAY AWAY】は、ビデオクリップイアーズ賞も受賞し大反響を呼んだ。
しかし、思えばあの頃からまさに【ラルクアンシエル】のお仕事は投げやり的な・・・ゲフンゲフンッ、いや、ハッキリ言ってしまおう。あんまり楽しくなさそうで、どうにでもなれ〜って感じではあった。確かに。
最後の砦、舵取りであるメンバーがそうなってしまっては、【ラルクアンシエル】という巨大船が【産業】という大航海に出たまま遭難して幽霊船になるのは目に見えた話だ。なんたって、舵取りがいねぇんだから。

そんな幽霊船【ラルクエンシエル号】のままリリースされた最新シングル【Spirit dreams inside -another derams-】のプロモーションビデオが、とうとうラルク史上初のご本人達ノー出演PVとなったのは当然の流れだったわけだ。

というわけで、小休止に入る前の【ラルクアンシエル】はまさにベルトコンベアーに乗せられた幽霊船という、世にも奇妙なモンスターだったのである。これは小休止に入って大正解というか、ファンとしては「いいから休んでくれッ!!」と言いたくなるのもしかり。

【L'Arc-en-Ciel】とは、腹黒でありながら案外・・というか案の定というか、
繊細で仕事熱心なガラスのモンスターバンドだったようだ。

今は一刻も早く幽霊船に舵取りメンバーが再乗船してくれて、一度【産業】という大海原から【L'Arc-en-Ciel】という船を引き上げてくれることを望む。つまりは、本当にやりたい音楽の曲を作って、バカ売れではなくそこそこ売れば良いのだ。突如としてバカ売れすると、また金の亡者に捕まって【産業の大波】に飲まれる・・・という過去の二の舞になるだろうから。同じ二の舞を踏むのならば、7年前に彼らが起こした根性の奇跡を、もう一度踏んでいただきたい。


以上、お粗末さまでした。