SHALLOW SLEEP [ english ensemble ]

ハイディのねっとりネバネバ度が数段増してる英語Ver.のほうです。
久しぶりに聴いたら・・・あら、なんかコレむちゃくちゃ良くねぇか?と。
オカシイなぁ〜、購入当時は「今回は日本語Ver.のほうが断然いいよー」とか言ってたのに。
どうした、すんげぇ良く聴こえるぞ!?日本語Ver.とは微妙にサビの音程が変わってるんですが、なんかあの辺が・・・こっちの音の運びの方が好きだったくさい。(気付くの遅ッ)

THE OTHER SIDE

この曲は、『第二期』とも言えるHYDEの新たなソロワーク第一弾シングルのカップリングに収録された曲である。日本語歌詞がメインのA面【HELLO】に対し、完全に英詞で書かれたこの曲は、【HELLO】のカップリングであるが故に、英詞ソングであるが故に・・・とんでもないイメージが盛り込まれていた。

まず、この曲を紐解く上で重要なのが、同シングルのA面【HELLO】の存在である。
この2曲は「対になっている」と言っても過言ではないだろう。【HELLO】なくして【THE OTHER SIDE】が生まれなかった・・・というよりも、ハイド氏の性質を考えると、むしろその逆だったと思われる。
【THE OTHER SIDE】を世に放つ為には、【HELLO】という人目を引く『隠し蓑(みの)』が必要だったのだ。

さて、前置きはこの辺にして、早速『鈴木流【THE OTHER SIDE】の訳詞』を見ていただこう。

あぁ・・海だ

その波で私を溺れさせ 私が堕ちるのを待っている
私はそう思って疑わない この生命の意味を

経帷子(*)を纏い長い間旅をしていた
その中で私は非常に多くの世界を目にしてきた
果てしのない放浪に もう私の魂は疲れ果てている
一瞬の花火のような幸福は どんな輝きで今を過ぎ去っただろう?

あぁ・・海だ
その波で私を溺れさせ 私が堕ちるのを待っている
私はそう思って疑わない この生命の意味を

私は闇が光となる事を知っている
そんな私に仕掛けられた罠
私はその罠を上手くかいくぐる為に頭脳を使うだろう
信者達がソレを強固なものにしてくれる
私が心から大事にしてきたあらゆるもの
・・・愛では無かった、愛では無かったのだ

あぁ・・海だ
その波で私を溺れさせ 私が堕ちるのを待っている
私はそう思って疑わない

たとえ私の肉体がいずれ滅び 辿り着くのが反対側の海岸であろうとも

それがこの生命の意味


※(*)経帷子(きょうかたびら)・・・死者を包む白い布

A面に収録されている【HELLO】は未来への希望に満ち、迷い無く駆け抜けていく曲であった。
そしてそんなA面のもう一方・・・B面に収録された、その名も【THE OTHER SIDE】。

まず、出だしのサビの部分からして難解な歌詞である。
サウンド面からしても、本曲はところどころ変拍子が織り込まれ、そのうねるようなゆったりとしたリズムは聴き手に強く『波』のイメージを髣髴させる。全体的に乾いたギターサウンドであるのに、その音が与えるイメージは暗く、どこか湿り気を帯びているのだ。それは一種の『ハイド・マジック』と呼んでもいいと思う。すでに10年以上のキャリアを持つ彼が修得した、まさに『歌詞の魔法』なのだ。

ハイド氏の歌詞は全体的に宗教の色が濃く出ていることが多い。故に、一般生活の中ではあまり使わないような言葉がふんだんに盛り込まれている。しかも今回は付け加えて、日本人に馴染みの薄い英詞である。そんな難解な歌詞ワールドの中で、一際分かりやすく、ダイレクトにその響きと意味が飛び込んでくる単語。それが出だしの・・・

『 sea 』

という単語。恐らく言語を解す日本人の99%は、この英単語の意味を把握しているであろう。
言わずもがな、『海』である。曲の出だしで、あえてこの簡単明快な単語を放つことによって、まず聴き手側に絶対的な『海』のイメージを植え付ける。そしてそれを確固たるものにするかのように、随所に挿入されている『うねり』を持った変拍子。全体的にまるで『波』のように、引いては返し・・を繰り返す、起伏のあるメロディ。
この“有効的に歌詞をサウンドに絡ませる”という細工。それが『ハイド・マジック』の正体である。

鈴木がこの技法をわざわざ特筆して『マジック』と称すにはワケがある。
ハイド氏のこの細工は、決して今回が初めてではないからだ。つまりは偶然ではなく、確実に計算されたもとで仕掛けられている細工だと言えるわけだ。では他にどの曲にこの細工が施されてるのかと言えば、ラルクアンシエル史上、最もセールスを記録したあの【HONEY】である。

これもやはり冒頭のサビ部分に、その細工は施されている。

『 乾いた 風を 絡ませ 』

この3単語。
【THE OTHER SIDE】では『湿り気』のイメージを、あえて『海』という言葉で表現していたが、【HONEY】はもっと直球で、『乾燥』というイメージをそのまま『乾いた』という言葉で表現している。タイトルでもある『HONEY』という単語が持つ意味のひとつに『ハチミツ』がある。『乾いた』とは真逆の液体物質だ。そんなタイトルを持ち、PVでも「これでもか!」というほどドロッドロなハチミツが流れ、ビジュアルカラーも黄色で統一されている。なのに、なのに!【HONEY】という曲が与える印象は、やけに『乾燥』していて、なおかつ『軽快』なのだ。この軽快さも、同じく『ハイド・マジック』によるものだから恐ろしい。
それが冒頭の同歌詞にある、『風』である。付け加えて、この『軽快さ』はもうひとつの緻密な細工によってもたらされている。それが『 わいた  ぜを  らませ 』という、怒涛の『か』連呼だ。最も明瞭な発音、それが『あ段』であり、最も活舌の良く聞こえる音、それが『か行』なのである。この『風』効果と、怒涛の『か』連呼効果により、本曲にはキレのある軽快さが生まれているわけだ。

・・・と、話を【THE OTHER SIDE】に戻しましょう。

そくする  のおもい 』

『加速』効果と『か行』連呼によってもたらされている、『疾走』と『軽快』というイメージ。
その対極イメージとして【THE OTHER SIDE】では、引いては返す『波』からは『停滞』というイメージと、『海』という単語からは『重い湿り気』のイメージを与えているのだ。

ふ〜・・・ウンチクもそろそろネタが尽きてきたな。
ここまで読み進めた方、「なんだ、全然デンジャラスじゃねぇじゃん」とお思いでしょう。
そりゃそうだ。わざわざ鈴木がデンジャラス部分を避けて通っているんだから(笑)。

さぁ、ではいよいよここからがデンジャラスに突入する、歌詞の内容についてです。

まず、わざわざハイド氏が『ハイド・マジック』を惜しみなく披露してまで【HELLO】と【THE OTHER SIDE】のポジションに明確な差を付けたという事を考慮して、ここはひとつ前置きを。


※【THE OTHER SIDE】は、【HELLO】の歌詞を書いた人とは別人だと思いましょう。


えーと、そんじゃノンストップ徹底解剖スタート。

まず、ハイド氏の書く英歌詞の曲において最も難しいのが、主人公の性別の判断である。
日本語なら『僕』『私』で明確なのだが、英歌詞は全てが『 I 』だ。
今回も例に漏れず、結局最後まで主人公の性別が判断できない。というわけで、性別はさて置き。

本曲中には『 I 』という主人公のほかに、もう一種類の登場人物が存在している。
それが『Believers』だ。訳して『信者達』という名詞である。これが『Peaple』でも『Anyone』でもなく、『Believers』であることが、鈴木が散々言っているデンジャラス要素なのだ。つまりは、これは不特定多数の人々を指しているのではなく、主人公『 I 』を崇拝する、ある特定多数の人々を指している。

ここでその主人公『 I 』を、作詞者であるハイド氏自身と想定してみよう。

・・・・・・・!!

鈴木をはじめ、多くの人が「【Hydeist】は一種の宗教だからねぇ」なんて冗談半分本気半分で口にしている事実。
ということは、『Believers』とは・・・我々『ファン』を指していることになる。
なんてこったい!ハイド氏自ら、ファンを『信者』呼ばわりだよ(笑)。

さぁさぁデンジャラスに登場人物が出揃ったところで、続いてストーリーを見てみよう。

 主人公は暗い海の中、長い旅路の果てに心身ともに疲れ切っているらしい。
 そんな主人公が見た小さな幸福も、今や過去へと過ぎ去り、決して未来への希望もない。
 いつかは波に飲まれ、人知れず溺れてゆくのであろう。
 それが、主人公の運命だと自覚している。

 しかし、主人公は闇の後には光があることを身をもって知っていた。
 決して今のまま静かに消えていくことは叶わないのだと。
 再び慌しい光の中へと引き戻される。
 そんな主人公を待ち構える幾重もの罠。
 その罠を通り抜けるために、主人公は時には非情な決断すらも下すだろう。
 心が痛まないわけではない。
 痛まないわけではけど・・・
 信者達の存在が、そんな迷いを消し去ってくれる。
 主人公が心から慈しみ、大事にしてきたいくつかのモノ。
 その中に、愛は無かった。

 たとえ主人公が滅び、いずれ辿り着くのが主人公の思い描いていた場所ではない、
 もうひとつの世界だったとしても、主人公はいつか波に飲まれ、溺れゆく定めなのだ。

うーん、見るからにダークだ。
最も気になるのが『love』という単語。この言葉は、最近のハイド氏が繰り返し口にしている言葉である。

「ファンが愛しい」

これは、言うなれば『親愛』の愛だ。
では本曲の歌詞の中で歌われている、『無かった』と言い切っている『愛』とは何なのだろう?

・・・最もポピュラーなのは、『恋愛』の愛じゃなかろうか。

歌詞中に登場する『罠』という言葉も、この『恋愛』に深く関係しているモノだと思われる。
『Believers』である信者達にとって、崇拝する主人公の『恋愛』は否が応にも気になるものだ。
だからこそ主人公はそんな『罠』に頭を悩まし、信者達の存在が気に掛かる。
そこには、主人公の「信者を手放したくはない」という、ある種異様な執着心が見えなくもない。

そしてもうひとつ。
例の『恋愛の愛』という解釈を、『友愛の愛』と解釈すると、またちょっと違った見方が出来る。
これまた一部では、「ハイドさんは数ヶ月前、親しかった友達に裏切られたらしい」なんて噂がある。もしその噂が真実だとしたら、本曲【THE OTHER SIDE】はそんな傷心が浮き彫りとなった曲である!と断言出来るだろう。

つまりは、いずれにしてもキーワードは“傷心のハイドさん”なわけだ。

さて、随分と懐疑的な主人公が予感する『反対側の世界』とはどんな世界なのだろう。
そのヒント、果ては答えが12月リリースのオリジナル・アルバムに集約されてることを期待する。

※今回のレビューはあくまでも主人公をハイド氏、『Believers』をファンの人達と想定して、
  鈴木が勝手に解釈して書いたものであることを、改めて断っておきます。
  反論・苦情は ハイド氏本人以外からは受け付けません(笑)