forbidden lover

自称『イエスマン』なハイド氏が、自ら「ヒステリックな歌声になっちゃうよ、それでもいいの?」とコンポーザーのケン氏に訴えかけたという逸話を残す、言わずもがなのハイパー高音ヴォイス曲である。


※以下、レビューというよりは単なる『感想』に近いのですがご了承ください。


鈴木、久しぶりに色々なラルクビオデを見てまして、この【forbidden lover】発売あたりに出演してた番組がわんさか入ったビデオに遭遇したんですよ。

いやぁ〜酷いね。

ぶっちゃけね(笑)。もう、ハイド君の喉、潰れかけてるよね。
しかも、ほっとんどの番組では鈴木がプロのアーティストとして最も許されまじき行為と思ってる、『口パク演奏』をやってのけてますからねぇ〜。いやーイカンイカン。

確かに、ちょうどこの時期に行われてた『ハートに火をつけろ!』ツアー追加公演の代々木第一体育館でのライブの時も、風邪を患ってるとかでハイド君の調子がすんご〜〜〜い悪かったのを覚えてるんですが・・・口パクはいけませんよ。

そんな中、実演奏で出演してたのが『Mステ』と『POP JAM』だったんですけど、もう・・・聴いてる方が泣きたくなるくらいにツラそうなんですよね(笑)。「妥協してファルセットで出しちゃえばいいのに・・」とか思ったんですが、なぜかハイド君は首筋に血管を浮き上がらせながら頑張る頑張る。しかも、【forbidden lover】を歌うハイド君ってやけに魂こもるっていうか、人相が恐くなるっていうか、とにかく『鬼気迫る感じ』じゃないですか?
なんだか、歌うちょっと前まではタモリと一緒に「ちゃんこが美味いの〜(*´∀`*)」とか話してた人と同一人物とは到底思えません(笑)。

ケン氏、ちょっとあのハイド虐めはやり過ぎだったんじゃないでしょうか。
いや、その前の【snow drop】のコンポーザー・テツ氏も同罪だよな。

よってたかってハイド君の高音ヴォイス発掘にいそしんでいた98年後半。
翌年にリリースされた【HEAVEN'S DRIVE】が作詞・作曲ともハイド氏自身だったわけがよ〜っく分かります。

― 余談 ―
この【forbidden lover】リリースあたりのハイド君の髪の色が、緑がかったアッシュ?
みたいな色で、今となっては珍しい『前髪全おろし』だったんですけど・・・

こぉ〜のハイド君、むちゃくちゃ可愛かった。

結局、最後のこのヒトコトが言いたかったが為だけの今回のレビューだったり(逃)。

HEAVEN'S DRIVE

1999年。
業界で初めて『携帯着メロ』を媒体に、リリースのプロモーションを吹っかけたことで話題となったこの曲。

そういえば、当時はまだまだ『着メロ』というモノがそんなに普及してなかったんだっけ・・・なんて、時代の急速な変化を感じてしまいますね。と、どうでも良い話は置いといて。

作詞・作曲ともハイド氏の本曲。
当時、本曲を取り上げていた記事に目を通してみると、どのライターも口を揃えたかのように同様のとある言葉でこの曲を紹介している。その言葉とは、ズバリ・・・

『二面性』

である。鈴木もここのレビューですでに幾度となくこの言葉を使ってきたのだが、この曲【HEAVEN'S DRIVE】の持つ『二面性』は、ハッキリ言って次元を超えている。

まずは、イントロからサビまでのメロディと、本サビのメロディ。
この2つを切り取って、別々のモノとして聞いてみよう。・・・とても、同じ曲に存在するメロディラインとは思えない。
ハイド氏特有の、コードの常識を無視した摩訶不思議コードラインである。

AメロBメロに響くドラムとベースのゴリゴリドンドン重低音。
このリズム隊が刻む重いビートのおかげで、前半に響くサウンドには否が応にも『閉塞感』が付きまとう。
歪みのエフェクターをかけまくったようなヒステリックなギター。
声帯を故意に引っ掛けて、がなるように歌うディストーションのヴォーカル。

そんなヘヴィーなサウンドを経て辿り着いたサビは、と言うと?

まさしく『浮遊感』である。
重く地面に縛り付けられていたようなメロディが一転するのだ。
サビではドラムが勢いよく地面を蹴り飛び、低音から高音へと高らかに舞い上がるベース。
バックオケと見事に一体と化したギター、ストレートに力強い中高音を紡ぐヴォーカル。

また、本曲のPVにも注目したい。
PVは寂れたストリップバーのステージでメンバーが演奏をしているシーンから始まる。
経営が芳しくない店内で、ついにメンバーは演奏を投げ捨て店内を後にする。
そして通路を去り際にハイド氏が壁の穴から向こうを覗くと、そこには・・・
活気溢れる店内のステージで演奏する彼ら自身の姿があった、というもの。

まさしく、時空を越えた2つの時間が、一枚の壁越しに広がっているのである。

【壁のこちら側】と【向こう側】
ストリップバーに見る、二面性

まさに、ハイド氏・・しいてはラルクというバンドの真骨頂と言えるであろう『二面性』を、遺憾なく発揮している一曲。

また、この曲の歌詞だが、当初『仮歌』段階の時点では「♪飽き足りないんだね〜」という出だしの部分が、「♪満たされないようだね〜」だった。歌詞においては、なかなか悩まれた曲だったようだ。

― 余談 ―
99年にリリースされた【HEAVEN'S DRIVE】と、00年にリリースされたV6の【野生の花】(【MILLENNIUM GREETING】収録)という曲、サビメロディがえらい似てる・・・と、当時はよく噂になったものです。

Driver's High

この曲は当時発売された【ark】【ray】の中で、唯一(シングル曲を抜かし)明るい新曲として人気を集め、翌月シングルカットされたわけですが、非常〜に軽い曲ですなぁ。

軽い・・・軽い、そう、とにかく「軽い」のだ。

何が軽いって、あんまり分厚く音を重ねてないし、歪んだ音は並んでないし、プロモーションビデオはメンバーが強面ウサギのお面つけて強盗してるし、カーチェイスしてるし、金バラ撒いてるし、シャンパンがハイドにブッかかってるし、当時オフィシャルHPでは『ドラハイゲーム』なるものまであったし・・・、とにかく何から何まで軽過ぎるくらいにノリが軽いッ!!

そのくせに、某音楽雑誌で『明るい曲かと思いきや、最後は【来世でまた会おう】の通り、すでにこの世を捨てている不吉な歌である』と分析されていたように、歌詞はとてつもなく不吉な曲なのだ。
それもそのはず、この曲で歌われているのは『人間不信の男の孤独な自殺』なのだから。

誰かとの心中ではなくて、たった一人の人間の、自らによる死。
この曲の歌詞にはハイド氏には珍しく二人称の『君』や『あなた』という歌詞が一切出て来ない。
でも確かに言葉の端々から『僕』とは別の“もう一人の存在”というのも感じるのだ。

その正体は、『僕』が今乗っている『愛車』に他ならない。人間ではなくて、車。
人間全てに絶望した男が共にこの世を去る相棒として選んだのは、やはり人間ではなく無機物だった、という描写がなんとも“この世”に対する男の絶望ぶりをより一層深めている。もし誰か一緒に心中してくれるような相手(人間)がいるのなら、この男の人生はそれほど絶望的なモノではなかっただろう。人間を『自殺』という愚かで絶望的な行為に走らせる最たる要因は、やはり『孤独感』という独りではどうしようもない感情なのだ。

それを裏付けるのが「♪僕の方がオーバーヒートしそう」という歌詞。
流れからして、『僕の方が』という部分は、歌詞中に密かに存在する『“もう一人の存在”よりも』という意味なのだろうが、オーバーヒートしてる存在を考えると、やっぱりそれは“人間である誰か”よりも“今スピードをブッ飛ばして乗ってる車”のほうがしっくりくる。

明るく爽快な疾走感あるメロディと、あくまでも軽いノリで作られているPVは、あまりのスピードに本曲の実体を故意に見落とすように仕掛けられた『目くらましの罠』なのだ。

そんな罠の向こうに見え隠れするのは、どこまでも深く色濃い『絶望』であった。

DIVE TO BLUE

無性に叫びたくなるタイトル、ダイブトゥーブルぅーーー。
あ〜ほんとイイ曲だよ、これは。たとえ「売れ線狙い過ぎ」と言われようとも関係ねぇ。イイ曲は売れて当たり前なんだよッボケ!・・・なんか今日の鈴木は荒れてますか?そうですか。テンション高いだけですから(笑)。

鈴木のプロフィールにある『L'Q100』の【ライブで聴くと好きな曲は?】という質問でこの曲を答えてるんですが、ホールクラス以上のライブではこの曲は絶対にやって欲しい(ライブハウス以下でのライブでは、ちょっとセットリストからは外して欲しいかもしれん)。ノリやすいし、ハイドが可愛いし、他にはハイドが可愛いし、やっぱりハイドが可愛いし・・・ってオイコラぁぁーーー!!!スンマセンスンマセン、だってハイドファンだもん(笑)。とにかく、GCツアー最終日にハイディが繰り出したあの伝説の猫パンチは鼻血モンでしたね。

とか散々「ハイディハイディ!」言っておきながら、実はこの曲の一番好きなトコは・・・ぶっちゃけ、『テッつぁんの歌うベース』です。この曲のベースラインがすんげぇ好きでねぇ。テッちゃんの『歌うベース』の典型だと思うんですけど、高音のベース音が好きな人はこの曲のベースライン好きでしょう。低音でブリブリいわせてる音も大好きなんですけど、高音のなんつーか・・・イイんだよなぁ。「♪胸に胸に空をつめて〜」のところのベース、上がって下がって上がって下がって・・・ってぇッ!!あぁーたまらん!テッちゃん最高★(鈴木どうした!?)

しかしこの曲、出だしから散々歌っておきながら、いきなりサビになるとベースが大人しくなる。
サビからはギターのケンちゃんにバトンタッチって感じの作りが面白いね。

Butterfly's Sleep

ハッキリ言って鈴木はこの曲を聴いた瞬間、ほんっとに「ラルクってなんでもアリなんだなぁ・・・」と実感しましたね。なんていうか・・ジャンルの次元をはるかに超えた曲っていうか。

サイバートランスみたいな奇妙な音しかり、それと同居するバイオリン筆頭のオーケストラしかり、かと思えばまるでタンゴ調のようなベースしかり、エフェクトかけまくった雑音紙一重のギターしかり、シンバル狂連打の軽〜いドラムしかり、ミュージカルのような演技くさいヴォーカルしかり、とてもカラオケで歌えるようなレベルではない(あらゆる意味で)スゴ過ぎる歌詞しかり・・・、異質な要素を挙げ出したらキリがない。

この曲、鈴木の中ではかなりの『問題作』になってます。
別に「悪い」って意味でなく、「こーゆーのがやれちゃうのがラルクなのか?」とか、「これをやったラルクってどうなのよ?」とか、「いくら十数曲同時に歌詞を書いてグロッキーだったからって、ここまでイッちゃってる歌詞を平気で乗せて歌うhydeさんの神経ってもしかして・・・もしかしなくてもスゴイ?」とか、考えてしまうわけですよ(笑)。だから、決して曲のレベルが低いとかそういう意味で『問題作』なわけではナイ。むしろ曲のレベルは最高級に高いと思います。

♪浮かぶ〜雲の〜よぉに〜誰も〜僕を〜掴めなぁ〜い
♪ 何も〜かもを〜壊しぃ〜自由の〜もとに〜生まれたぁ〜   by 【STAY AWAY】

自由のもとに生まれたラルクさん、もう行き着くとこまでイッちゃって、もっといっぱい『問題作』を作ってみてはいかがでしょうか。鈴木はバッシングされればされてるほど、あなた方を支持したくなる捻くれモノですから。

Perfect Blue

ハワイアンですねー。
でもってまたえらいブラッキーな歌詞だこと。テツファンの人がテツ大嫌いになったりなんなり、なんだか当時は色々とあったようですが、鈴木はこの曲大好きっ子です。だって腹黒一直線じゃん。(結局それかい)

で、これ最初、鈴木はすんげぇ深い歌だと思ってました。
「おぉテッちゃん!【milky way】からずいぶん成長したじゃん!」な〜んて思ってたんですが、それは鈴木の大きな勘違いでした。なんでそんな勘違いしたかっつーと、コレ歌ってるハイドさん、なに言ってるのか分からんトコが結構あるのね。

例えば「♪鈍感なその笑顔の下の罪を分かってない」の部分、
鈴木は最初『鈍感なその笑顔の下の罪 は笑ってない 』かと思ってた。
笑顔のしたの罪は笑ってないのか〜深ぇ〜とか、ひとりで感嘆してたわけです。
だってアレの初回限定版のブックレットって1枚の帯状じゃないですか?しかもケースの外に重ねる感じの。

アレ、取り出して広げて見るの・・・面倒だよね。(最低)

他にも「♪まるで赤信号を猛スピードで走り抜けてくサンデー・ドライヴァーみたいさ」を、
『まるで 真新しい希望 を猛スピードで走り抜けてく〜』に聴こえてた。いや、これは今でもそうにしか聴こえない。『真新しい希望』?ほうほう、それをすんごいスピードで走り抜けて突っ切っちゃう感じ?とか、これまたひとりであらぬ探りを入れて納得してたり。
「♪飼い犬に手を噛まれてる まるでそんな気分だよね」に至っては、もはや何言ってるのか分からんだけ状態。

しばらくしてブックレットで歌詞をちゃんと見て、カルチャーショックを受けたくらいですからね。
それにしても、テツ氏の曲ってのはメロディーがキレイで聴き心地が良いです。

真実と幻想と

あーん、好きだー好きだー好きだぁー!!!(ウザイ)

鈴木は特に最近『ミドルテンポ・マイナー調』の曲にハマってる、と至る所で公言してるんですが、まさしくこの曲はマイブームです。ケンちゃん最高。Aメロ・Bメロのあんまり動かない旋律から一転して、ハイディの高音とコーラスの低音で真っ二つに分かれるサビの手前なんか、ドームクラスで聴いたら鳥肌立ちますね。

またコレ、メロディーの音程が微妙〜じゃないですか?メチャクチャ。前に言ったように、微妙な音程を歌いこなせるヴォーカルには目が無い鈴木なんで、これもハイディなんざたまらなくツボなんです。

それにしても、ほんと【ark】【ray】あたりの曲の歌詞って・・・意味が分からん。ちなみに、他の人はどうなのか分かりませんが、鈴木はこの曲聴くとすんごぉ〜い鮮明な情景を呼び起こされます。景色が目に浮かぶ曲ってぇの?なんつーか、『炎が燃え上がる紫色の海』をね、想像するんですよ。どっちかっちゅーたら、ハイディソロの【ROENTGEN】に入ってるような感じっぽい。歌詞の意味が分からんくせに、情景が想像できるって・・・大きく矛盾してるんですけど(笑)、この曲に関しては意味が分からんハイディの詞と、コンポーザーケンちゃんのメロディが絶妙な具合でマッチしたってことかしら。

What is love

この曲の褒め称えるべき逸点はズバリ、メロディ。
作曲者はあの『なぜかフレーズが頭から離れなくなる』という不思議なメロディを数多く世に生み出してきたリーダー、テツ氏である。なぜだろうか、テツ氏の作る音はやたらと耳に残る印象がある。
さらに付け加えるなら、初聴きで口づさめることが多い。

『ハマる音楽』(「売れる音楽」じゃないヨ)には2通りあると思う。

ひとつは、【聴けば聴くほど味が染みてくる曲】。
初聴きでは掴みきれない部分が多いが、聴き込めば聴き込むだけ掴むことが出来、そして馴染むのだ。
なので、好き嫌いが分かれる曲と言ってもいい。こういう曲にハマった人の大半は、一時期に集中して聴き込む。そして、その一時期というのがやたらと長い。

もうひとつが、【瞬間的に強いインパクトを受ける曲】。まさに初聴きで耳に馴染む曲である。
が、しかし、強烈なインパクトなだけにあまり繰り返し聴き込むとインパクトそのものに慣れてしまうという現象に陥りやすいのだが、しかし、時間を空けて久しぶりに耳にするとやはり妙に耳に残る。

が、この【瞬間的に強いインパクトを受ける曲】の中にも、ややこしい事にこれまた2種類ある。
正確な境界線を引くのは難しいのだが、俗っぽく言うと『流行』の曲か、『名曲』と呼ばれるまで成長できる曲か、という境界ラインである。そしてその境界線は【環境】に大きく左右されるのだ。

重要なのは、瞬間的に聴き手を引き込む『強いインパクト』。
このインパクトというものが、いかに『楽曲』から与えているかで、その曲がどちらの運命を辿るものなのか決まる。分かりやすく例を挙げると、『流行』の運命を辿る曲は何らかのテレビ番組の【企画モノ】だったり、トレンディドラマの【タイアップ】であったり、直接その曲の『楽曲』から受けるもの以外のインパクトが付属するような曲が多い。逆に、『名曲』と呼ばれるまでに成長する曲は、ラジオやテレビを通じてその『楽曲』自体の噂がクチコミで広がるなど、メインのインパクトはやはりその『音』である。

さてさてだ〜いぶ話が逸れてしまったのだが、テツ氏の作る楽曲の大方は明らかに【瞬間的な強いインパクトを受ける曲】のタイプに属し、またその中でもこの【What is love】は単発ではなくアルバム曲ということからしても、その強いインパクトの要素は『音』から受けるものである、と言えるだろう。

確かにこの曲【What is love】にもタイアップはついていた。だがしかし、それはTBS系朝のワイドショー『エクスプレス』のイメージソングだ。正直、ワイドショーにイメージもクソも無い。よって、この曲に限り、実際はあまりタイアップでのイメージアップ&インパクト増加は無かったと見てよいだろう。

隠れた『テツ氏の類稀なる楽曲センス大発揮曲』である。

そして、もうひとつ特筆すべき点がハイド氏の歌詞。
ハイド氏の書く歌詞はストーリー性が強く、かつ非常に抽象的なものが多い。
曲全体を通じて、漠然とした世界の物語を見たような気分になる。

だが。

この曲は一味違うようだ。
まず「♪愛を知らなくて愛を知らなくて」という部分、同じ言葉が繰り返し歌われる。
これはハイド氏の書いた歌詞を統計的に見て、非常〜に珍しい。さらに、繰り返し歌われる言葉は、よく『抽象的』と評されるハイド氏には珍しく、やけに『具体的』なのだ。2番では「♪愛を知りたくて愛を知りたくて」ときてる。

これがテツ氏の作ったメロディを聴いて、ハイド氏がわざと意図したことなのか、それとも作曲者であるテツ氏が前もって意図したことなのか、はたまた全くの偶然かは分からない。だが、作曲者のテツ氏と作詞のハイド氏の見事な相乗効果によって、この曲が密かに『強いインパクト』を持ち、耳に馴染みやすく、また心から離れにくい曲に仕上がったことは間違いない。

Pieces

『 【Pieces】はイイ曲だと思う 』

さて、誰の言葉でしょう?
正解は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木も知りません(笑)。
知らないんですが、以前【Pieces】がリリースされた1999年当時、ネットをさまよってたら偶然辿り着いたある男性管理人の方のページで、Javaだかflashだかどんな仕掛けだったのかは忘れましたが、ひたすらこの一文がページの上をふよふよ動いていたのでやけに覚えてるんですよ。しかも、彼はそれまではどちらかと言うと『ラルク?あぁ・・興味ねぇ』みたいな、アンチではないけれど好きでもなかった人だったようで、それが二重の衝撃を鈴木に与えましてね〜。それ以来、鈴木の中では【Pieces】と言ったらまず真っ先にあのヘンテコな動画ページのイメージが出てくるんですよね(笑)。

と、そんなどーでもいい話は置いといて。

そんなわけで、この曲をヒトコトで言い表すならやはり『イイ曲』なのであろう。
「かっこいい曲」「暗い曲」「激しい曲」「きれいな曲」・・・等、楽曲を形容する形容詞は様々あるが、この曲に関しては全ての要素をひっくるめて最終的に辿り着くは『イイ曲』なのである。

作曲者のテツ氏が、『【あなた】を越えるストリングス・バラード・ナンバーを作ろうと思って』とコメントしてるように、本当にこの曲のストリングスの量と言ったらハンパではない。厚みに厚みを重ねて、しかしテツ氏のメロディセンスによってそれが決して重くならず、メロディには悪い意味での『曖昧さ』は微塵も無い。
優しいスローナンバーながら、しっかりとしたメロディがそこには存在しているのだ。
これがメロディメーカー・テツ氏の手腕である。恐れ入りました。

それにしても、この曲の編成は実に面白い。
一見して、平和的バラードをやるロックバンドなんて・・・なんて批判的な意見も聞こえそうだが、そこはあのラルクさんである。

彼らはこの『イイ曲』と言われるようなバラード曲で、バンドの魅力を最大限に活かし、かつ魅せる編成を組んでいたのだ。恐るべしテクニシャン!!

まず前奏でドラムとベースのリズム隊による行進のような比較的重いリズムが組まれているのだが、それがAメロに入ってハイド氏の歌声が響いた途端、全てが一端止む。出だしであるAメロ1パートめは、ハイド氏の澄んだような艶のあるような異種様々な歌声が静かに響き渡る。ヴォーカルの存在感が遺憾なく発揮されたAメロだ。再びAメロ2パートめに入ってリズム隊が復活すると共に、ようやくギターが入ってくるのだが、その音は非常に短い音色のカッティング音のみである。

まず最初のAメロの聴き所は、『静かなヴォーカル』と『歌うベース』なのである。

Bメロに入り、ふとテツ氏の『歌うベース』が大人しくなる。音数は相変わらず多いのだが、その音程の高低差がほとんどなくなるのだ。だから、普通のベース特有の一定の音でリズムを刻むような、本当に大人しいベースに落ち着く。そしてここでようやくケン氏のギターがカッティングではなくストローク(とまではいかないが)のような、いわゆる『メロディ』らしい音色を奏で始める。決して音数は多くは無いが、「指が細い人じゃないと演奏できなそ〜」と思わせるその繊細かつ緻密さたるや、テクニシャンギタリスト・ケン氏の特権ではなかろうか。
今まで、あの繊細な音に気付いていなかった人は、是非とも耳を研ぎ澄ませて聴いてみて欲しい。

Bメロの聴き所は、この『繊細なギター』である。

そしてサビに入り、まずドッカーンと耳に飛び込んでくるのはやはりヴォーカル・ハイド氏の魅惑の高音ヴォイスだ。それと同時に、これまたテツ氏の『歌うベース』が復活&炸裂する。その跳ねっぷりは、最初のAメロの比ではないことは一聴瞭然。そしてそんな目立ちたがりぃ〜な2人に押されるように、再びギターはカッティングのあの短い音色に戻る。要所要所で確実な音を残し、全体的な音の流れはベースとヴォーカルとストリングスオーケストラに任せているのだ。

サビの聴き所は、そんな目立ちたがりぃ〜な『魅惑のヴォーカル』と『歌いまくるベース』の華やかなツートップ・セッションである。

続いて間奏に入り、間奏は「オイオイなんだかストリングスの独壇場だな〜」と、バンドバラードとして一番やっちゃならんコトしちゃったのか??と、思わせておいてついにッ!!

泣く子も黙るテクニシャンギタリスト・ケン氏の涙のギター・メロディ参上。

掻き鳴らすように振るわせたギターの旋律がどんどん上昇し、ピークを極めたところでふとハイド氏の切ない歌声。ハイド氏の出現と言えば、言わずもがなテツ氏の歌うベースももちろん一緒にご登場。

あとはもうサビ、サビ、大サビの豪華オンパレードで、魅惑の高音ヴォーカルありーの、歌うベースは歌いまくりーの、テクニシャンギターはポロンポロンシャランシャラン腰砕けの繊細さーの、贅を尽くした編成となっている。

さて、冒頭の前奏で一度触れたきり名前の出てこなかったユキヒロ氏のドラムであるが、ある意味彼が一番スゴイ試みをしたとも言えなくも無いのだ。

何故なら、ハイド氏はお得意の『魅惑の高音ヴォイス』を。
何故なら、テツ氏はお得意の『歌いまくるベース』を。
何故なら、ケン氏はお得意の『泣く子も黙る繊細ギター』を。

と、それぞれが得意分野で挑む中、彼だけが淡々と正確なリズムを刻むという何の変哲も無いドラムを披露してるのである。別にユキーロさんファンの人を敵に回してるわけではない。これは彼自身が身を持って証明してることなのだ。というのは、【Pieces】リリースにあたって彼らがテレビ出演していた当時のこと、あのカッチョイイギブスをしていた彼は、いまだ記憶にあるであろう。そう、なんたって・・・

腕折っちゃった彼が、本当に片腕で演奏できたドラムなんだから。

彼には珍しく、高難易度のウルトラドラムではなかったのはお分かりだろう。
やはり、バンドという枠内での演奏における『バラード』で、自分のポジションというものをしっかり認識し、納得していたドラマー・ユキヒロ氏が一番バンドマンなのかもしれない。

― おまけ ―
今回、歌詞について全く触れてなかったので最後にちょっと触れておこう。
この【Pieces】の歌詞はちょっと不思議である。一見穏やかな失恋ソングなのかと思うのだが、それにしては別れた相手と思われる人の笑顔をいまだ『大好きなその笑顔』と言ったり、『私』と『あなた』との歌かと思えばふと『遠い日に恋をしたあの人』という謎の存在が出てくるし。

で、鈴木は思った。好きなのに別れなきゃならないってのはアレか?

・・・・・・・・・・・・死別か?

『あの人』とか遠い昔を思い出してるのは、俗に言う走馬灯ってヤツか?

あぁ・・・まぁ〜た殺しちゃってるよ。
というわけで、例によってせっかくの『イイ曲』が不吉ソングになりそうだったので歌詞はやっぱりこのまま触れずにおこう。
(実際は、歌詞の元ネタとして、ハイド氏自身の口から「フランダースの犬」「身内の不幸」が挙げられてました)